Friends

私は、学生時代にピアノのサークルに所属していました。


ピアノは基本的に独りで弾くものです。だからかどうかは知りませんが、サークルの仲間には少し変わった、というか、悪く言えば自己中心的、良く言えば我が強く個性的で、非常にマイペースな方が多かったように思います。


そんな中だったので、私はとても居心地が良かった。その中でもとても仲良しだった5〜6人組がありました。互いの個性を尊重し、主張が異なっても決してケンカにならず、思ったことをなんでも言いあえる。それぞれ全然性格が違っていて、それぞれの良さが互いに大好きで、見事に補完し合っている。一緒にいて本当に楽しい。いつまでも一緒にいたいな、と思える仲間でした。


卒業してみんなバラバラになったけど、私はあの仲間たちにはバラバラになってほしくなかった。仕事あるし子供もいるから、昔のように簡単に「徹マンやろうぜ、旅行に出ようぜ」とはいかなくなったけど、このまま音信不通になりたくはない。そう思って、必ず年賀状はみんなに毎年出すようにして、連絡先だけはちゃんと把握しておきました。中には筆無精なヤツもいて返事よこさなかったりするんだけど、それがまたそいつの個性だったりするので、別に腹も立たない。いや、少しは立つか。


そして数年前から、年に1度くらいのペースで会うようになりました。最初は東京で飲み会、そのうちに守谷の私の自宅でホームパーティー形式でやるように。そして去年からは、サロンコンサート。


去年のコンサートは、参加者は3人だけでした。「コンサート」と銘打ったから身がまえたというのもあるかもしれない。まあ気持ちはわかる。ピアノって、ちゃんと準備していかないと、人前で絶対弾きたくないものです。


でも今年はもう少し増えて、7人。子供や配偶者も含めたら12人。すごい。そのうち半数は「弾かない、聴く側」としてだけど、それでも全然かまわない。本番終わった後のアフターで弾いてくれるかもしれないし。その方が楽しかったりする。アフターなら緊張しない。


来てくれる友人のみんな、遠いところから来る人ばかり。一番近い人でも50kmくらいは離れてる。千葉、福島、岩手、岡山、そしてベルギー。びっくりです。本当に嬉しい。こんなに遠く離れていても、年に1度会えるんだ。奇跡のようです。


岩手と福島の友人は、この3月の震災で被災した。岩手は釜石で、津波に。幸いにして家は海際ではなかったのでみんな無事だったが、町はめちゃくちゃになってしまった。死者も多数を数えた。子供は小学2年生。私が見たことのない地獄を見たのだろうと思うと心が痛い。

福島の友人は私より何年か年上の先輩。今は高校教師をしているが、放射線量が高いので学校運営も混乱していて毎日が大変だそうだ。私にはやはり想像もできないが、Twitterなどで伝え聞く福島の話はなかなかに切実なものばかりだ。


そんな中でみんな来てくれる。これって、やっぱり凄くありがたいことだと思うんですよね。みんな仕事持って、家庭があって、大変なはず。来るとしたら泊る覚悟。でも、来てくれる。来たいと思ってくれてる。これはすごい絆だと思います。きっと、互いにピンチになった時に、真っ先に助けあえる仲間なんだろうと思います。


そんな友人がこれだけいると思えば、人生そんな悲観したものでもないのかもしれません。相変わらず守谷は放射線高いし、小中学校の校庭除染もしてくれるかどうか微妙なところだし、おかげで毎日睡眠不足だしこの節電猛暑で毎日嘔吐下痢続きだけど、仲間がいると思えば、頑張れる。立ち止まらずに前へ進んで行ける。


さあ、明日も頑張ろう。