たまにドラマでも使われています。
和久井映見と岸谷五郎主演の「妹よ」の挿入曲としてあちこちに登場していました。
まあ、あれはドラマの内容にしては贅沢すぎる選曲な気もしますが。
でも、選んだ人はいい選択をしたなと思います。
ラフマニノフがうつ病だったというのはみんな知っていると思いますが、この曲は、うつ病を乗り越えて、精神的に良い状態の頃に作曲されたものです。
当時ラフマニノフ33歳。
ピアノ協奏曲第2番などとほぼ同時期です。
ラフマニノフがどれだけ苦しんだのか想像もつきませんが、当時のロシアの音楽界の中で、様々な葛藤に打ちのめされて傷つきどん底に落ちた彼が、彼の音楽を愛してやまない多くの人々の助けによって自分を取り戻し、輝きはじめた、その様子がうかがえる気がします。
第3楽章が一番有名だと思いますが、4楽章からなりますので、ぜんぶ聴くと、なんとなくその流れが感じられます。
1楽章の暗さがあるから、3楽章で救われて、終楽章でめでたしめでたし、という感じでしょうか。
だから、陰鬱とした1楽章も、私は大好きです。
辛かった時、救いの時。
自分を構成する全ての時間とものごとに対して、すべて受け入れて肯定してくれている。
この世にある全ての人々に等しく降り注ぐ希望のような、そんな曲です。
だから、やはりこの曲は、シューボックスではなくワインヤードのホールが似合います。
なんとなく自分を否定したくなるような精神状態になった時には、この曲を、1楽章から終楽章まで通して、聴いてみてください。